パラフレーズとは何か?
パラフレーズとは言い換え表現のことです。なぜETS(TOEICの主催者)はわざわざ心理学者や統計学者を雇ってまで、パラフレーズを導入するのでしょうか。答えはシンプルで、簡単に正解が見破られないようにするためです。もう少し正確に言うと「実力のある人に高得点を与え、実力のない人を引っ掛けるため」です。
TOEICの採点方法は、各予備校が独自に色々研究してある程度までは解明されましたが、現在でもオフィシャルには公表されていません。おそらく偏差値のような相対評価が導入されているだろうと言われているんですけど、その真偽はETSの中の人しか知りません。
採点方法を知らなくても「明らか」なことは一つあります。それはTOEICのテストはフェアであることです。こちらは公表されている事実なんですけど、TOEICには特定の職業や地域に住む人に有利になるテストを作りません。テストに出てくる固有名詞がTOYOTAとかHONDAのように日本人に馴染みのある単語ばかりだと、韓国人はキレます。フェアじゃないからですね。またセンシティビティレビューを施して、暴力、殺人、ドラッグ、性行為のようなトピックを排除します。「現場に飛び込んできた7歳の少女をSWATが誤って射殺した」のようなトピックは出ません。これもやはりフェアじゃないと彼らは考えるからです。よって使われるマテリアルは、商品に欠損があったから返金して欲しいとか、フライトが遅延しているからプレゼンの順番を午後の部に移してくれないか、といったようにフラットで面白みのないものにならざるをえません。
TOEICの主催者はテストをフェアに保ちつつ、いかに実力のある人に高得点を与えるか真剣に悩みました。暫定的な答えとして彼らは「低得点者をトリックで引っ掛けてしまえばいい」と考えているようです。そのトリックの代表が、本文と同じ単語を選択肢に含める・・・というものです。本文で copy と強調されていて、選択肢に copy があり、それが正解の選択肢であれば誰でも点数を取ることができますよね。だからパラフレーズして、少しだけ正解を見つけにくくするわけです。例えば a week を seven days に言い換えたり、もう少し凝ったものであれば something to drink を beverage(飲料水)にしたり。
このパラフレーズはETS側にとっては非常に便利なツールで、低得点者を引っ掛けつつも、高得点者には答えを見つけられるようにする魔法のようなモノです。しかも言い換え表現を調整することで難易度も調整できますから「これはTOEIC700点以上の人に正解してもらいたい」といった微妙なさじ加減も可能なんです。
さて、話が長くなりました。まとめにかかります。このコースの講師陣は「パラフレーズを逆利用してズル賢く点数を稼いでやろうぜ」ということを勧めているわけではありません。パラフレーズに習熟すれば本来のパフォーマンスが発揮できるから順当なスコアを獲得できるのではないですか?と示唆しているのです。実際にはTOEIC本番で実力相応のパフォーマンスを出せる人はほとんどいないので、あなたが普段通りの英語力を発揮するだけでスコアは相対的に上昇してしまうのですが・・・。
ETSの使うパラフレーズのパターンに習熟し、パラフレーズの攻略方法を知っておけば、今後の対策も立てやすいでしょう。少なくともパラフレーズの概念を知らずに受験勉強をしているその他大勢のTOEIC受験生に対して大きなアドバンテージを持つことになるでしょう。